― 序章 ―



大地の彼方へ流れる星は、いったいどこへ行くのだろう?







 星空を見上げていると、ふいにその輝きに手が届きそうに思える瞬間がある。

ちょっと手を伸ばせば、夜空を流れる星たちを、すぐにでも掴めるような気がするんだ。

もちろん誰かに諭されるまでもなく、そんなことが出来ないのはわかっている。

だから、こんなことを言う僕のことを、笑い飛ばす人もいるかもしれない。

でも、あの輝きを見ていると、そんな思いを抱かずにはいられないんだ。

誰にだって、心の中には一つや二つ、ささやかな願いがあるはず。

それなら僕だって、このくらいのことを夢想してもいいと思う。うん、そうだよな。

そう思えるくらいに、この銀河の星々は美しかった。



(この輝きは惑える人々を導くための道しるべだ)



 僕はその輝きの意味についてそういう風に理解していたし、

きっとこれからもそう思い続けることだろう。いまさらこの考えを変える気もない。

たとえそれがどんなに不合理な事で、どれほど無根拠な事であったとしてもだ。

そう考えている方が、僕が生きていく上ではずっとずっと都合のよいことだったから。



 どこまでも無限に続くようにさえ思える漆黒の闇の中、懸命にそして力強く輝く小さな光点。

幼い頃の記憶の中のそれも、いまの僕が見ている光景と寸分違わぬような美しいものだった。

でも、それらは決して同じ光景などではないかった。

少しづつ、だが確実に世界は――宇宙は――すべてにおいて変化し続けているのだから。

 そういえば、彼とはじめて出会ったのも、こんな星振る夜だったっけ。

あれからもう、どれくらいの時が過ぎたのだろうか? 

ここではその正確な時間の流れを知ることはできないが、僕の記憶の中には、

その時の光景がはっきりと刻み込まれている。



 今にして思えば、それは夢のような出来事だった。

だがそれは夢ではない。夢であろうはずがない。決して夢であってはいけないんだ。

 未知なる世界への果てしない羨望と、心の中に小さな痛みを伴った遠い記憶。

それは全てを振り切って、あの星々の世界へ向かって飛翔した、一人の灰羽の物語だ……






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